平安剣道クラブです。
先日、2019年11月16日(土)神奈川県剣道連盟主催の審判法講習会に参加しました今回の受講者は56名と少なく、前回の100名以上の参加に比べ半数以下でした。人数が少ない分、じっくり取り組みが出来て良い講習会となりました。
講師は県連会長の小林英雄先生をはじめ、久保木文夫先生、佐藤正二先生、田島東海男先生、籾山孝明先生、松原治先生、吉村哲夫先生、石原和彦先生の、八段の先生方でした。鶴見区からは、私のみの参加でした。 講習は、講話、全体講義、模範審査、全員での審査実技、講評の流れで進められました。
開講式での小林会長の挨拶では、講習会の機会では熱心に勉強して欲しい、審判は失敗を経験することで上達することもあるので講習会では思い切って取り組んで欲しい、とお言葉がありました。
続いて佐藤副会長の講和は審判をする上での大事なことの説明がありましたので、以下に羅列します。
今年の和歌山のねんりんピックを視察したところ、若手の審判員で所作事が良くない点が目に付き、所作事はしっかりと出来ていないといけないと再認識した。所作は、適切な位置取りや、動いた後の足のかかとを付ける・手を体側に付けるなどの基本的な動作であり、これらをおろそかにしてはいけない。
審判は他の審判の判定に左右されない、意思表示をしっかりとする、反則は早めに取る等のことが大切であり、これらを適正にできるようになるには、有効打突の見極めを正しくできる必要があり、自身の稽古をしっかりと積んでいないと見極めが甘くなるので自らの取り組みも気を抜かないこと。
審判をする上での心構えは「審判をさせていただく(してやるでは無い)」、心の持ちようは態度に出るので注意する必要がある。
今年の防具と胴着の規則変更は違反者には試合後に個別に指導をすることとしているが、十分にできていない。この点は今後徹底する必要がある。
以上のような様々なお話がありました。
次に石原先生の全体講義では、最初に、講習会資料に記載の審判法講習における重点事項についての説明がありました。重点事項は、試合内容を正しく判定する、有効打突を正しく見極める能力を養う(練度に合わせて)、禁止行為の厳正な判断と処置をする、の3点、練度に合わせての見極めが難しいことの指摘がありました。
審判法の解説では、今年4月の講習会でもお話しがあった、試合審判規則第1条の審判の目的の説明と、今年4月からの新規則の説明がありました。
第1条は本規則の目的が記されており、「剣道の試合につき、剣の理法を全うしつつ、公正明大に試合をし、適正公平に審判すること」これが審判法の全てである。公正明大とはごまかさないこと、適正公平に審判するとは試合における全ての事実を正しく評価することであり、審判には、判定が難しくあいまいになりやすいグレーゾーンをできるだけ排除することが求められ、審判を経験することや講習会を受けることで身に着ける必要があるとのことでした。
また、剣道試合・審判・運営容量の手引きの「三、審判員の任務」の中にある、試合の活性化を図ることについても説明がありました。試合の活性化はちょっとしたことでもでき、開始の声は大きく、自分自身が試合者で1本を取るつもりで発声すると、試合は変わるとのことでした。審判員が試合の質を高めることは明白で、有効打突の見極めができることが最も重要。有効打突を見極めるためには、有効打突の要素と要件が分かっていることが必要で、これらの理解が深まれば、自身の剣道が変わる。このように審判法の理解と習熟は自身の剣道の質も左右するとのことでした。
新規則については、竹刀や防具の安全性の面で、これまでに規則では明確になっていなかった防具や胴着、竹刀の部位が明確にされたこと、その運用は全国大会レベルでは今年から厳格になされているものの、それ以外の大会では浸透には時間がかかること、破損が大ケガにつながりやすい竹刀については新規定が大会前の竹刀計量で適用されているものの、胴着や防具の規定については試合後に審判が注意することはできるが強制力は無いとのことでした。
講義の後、講師の先生方による模範審判、4会場に分かれて実技(模擬審査)となりました。模擬審査では、逐一、講師の先生が試合を止めて有効打突の要件、なぜ今の打突を有効としたのか、主審を中心とした位置取りの具体的な方法、審判の所作について、などなど細かく解説いただきました。指導されたポイントは以下の通りです。
判定の旗を上げた後も残心を見極めること。
試合者に合わせて動く場合、横に回らずに中に切り込んで動くこと。
審判の主副を交代する時は、下を見ず歩き、開始線の内側を通過するようにする。
位置取りは主審が早く判断して動かないと、副審の位置取りが遅れてしまう。どうしても位置が悪くなったら止めをかけて試合を止め、開始線から試合を再開する。
審判中、手は体側につけ、持った旗の旗先を足に付けるようにすると見栄えが良い。
有効打突の見極めは、打突後にすぐに旗を上げるのではなく一呼吸置いてから上げると残心までの見極めがしやすい。旗を上げる時は3人の呼吸を合わせるようにする。バラバラと上げない。一度上げた旗の取り消しはやるべきではない。しっかりの見極めてから上げること。
試合中の竹刀の向き、鍔の付け方、紐などの着想、目印の有無などのチェックは主審の位置からでは見えないことが多いので副審が中心となって実施する。
旗の持ち方は、下げているときは手の甲を外にするが、上げる時もそのまま上げて、手のひらを上に向けない。取手の端は手のひらの中央に付ける。竹刀の握り方と同じ。旗の表示、持ち上げ方はとても目立つので気を遣うこと。
新規則の竹刀の違反があった場合は即刻選手に先刻して竹刀を交換させる。防具や胴着が規定に見合わない場合については、試合後に選手を呼んで注意する。団体戦の場合は大将までの試合が終わってから選手と監督を呼んで注意する。
私自身は、有効打突の見極めに課題を感じ、今回の講習会では自分の模擬審査以外の時も判定を積極的にするようにしました。特に打突の要素が十分かどうかを見極めることがうまくできないので、自身の稽古を通じてしっかりと身に付けるようにしたいと感じました。 審判講習会は、毎回、平均年齢が比較的高く、私の年代(40代)は若手になるので、試合者が回ってくる機会が多かったです。
今回も私自身にとって収穫が多い機会でした。審判法は相変わらず難しいと感じますが、剣道の理合を学ぶ一つの機会と捉えて、これからも取り組んで行きます。
見学、体験稽古は大歓迎です。随時受け付けています。ご興味のある方は、コメント欄から連絡いただくか、メールや電話でご連絡いただきますようお願いします。
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